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まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生
伊関 友伸
まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生
定価: ¥ 1,995
販売価格: ¥ 1,995
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この分野の必読書となるでしょう
自治体病院の現状分析・再建支援で、精力的に活動している著者の新著です。著者の住む埼玉県は、東京近郊でありながら、人口あたりの医師数が最も少ない県です。著者の言う「病院がなくなるまち」とは、日本国民が漠然とイメージする過疎地ばかりではなく、東京都内でさえ出現しうる、つまり日本全国をさすのです。
病院現場の勤務経験をお持ちの著者の視点は、まさに現場に即したもので、医療関係者にとっても貴重なアドバイスが多く書かれています。しかし、地域医療が崩壊していくのは、取りも直さず地域そのものが崩壊しつつあるからです。地域行政を、日本の社会を、行政を見直さない限り、公共サービス部門に明日などありません。子どもが減ると学校を減らし、その結果、子どものいない町村がたくさんできましたよね。病院のない地区には、誰もいなくなります。当直明けで平日の日常勤務は当たり前と、身体に叩き込まれて来た中堅以上の医師たちは、使命感から無理に無理を重ねてきました。しかし、水際で踏みとどまっていた医療現場の医師も、もう支えきれなくなっているのです。
専門用語の多い本ではありますが、医療・行政関係者のみならず、病院を利用されるすべての人に読んで頂きたいと思います。

“警告”を真正面から受け止めなければ・・・
600億円を超える巨額債務を抱えて夕張市の財政が破綻したのは1年半前。39億円の借金を背負い倒産状態にあった夕張市立総合病院は、規模を大幅に縮小し、運営を民間医療機関に委ねるなど大ナタを振るうことでようやく再建の道を歩み始めた。
現地入りして再建計画づくりを支えた専門家チームの一人が著者である。地方自治体の「医療行政」と「医療現場である病院」の双方の実態を知るだけでなく、行政評価など改革手法にも詳しい。
本書では、著者が体験した全国各地の病院再建の実例などを挙げて自治体病院の経営悪化の原因を究明すると同時に地域医療再生の処方箋を探っている。経営不在の自治体の体質や、病院のコンビニ化を求める住民の責任を問うなど舌鋒は鋭い。
「地域医療の崩壊は一過性のものではない」という著者の“警告”を、一人一人の国民が自分の事として真正面から受け止めなければ、取り返しのつかないことになる。身近なところで起きている知られざる現実をしっかり捉えるために、一人でも多くの国民に読んでほしい一冊である。

地域医療育成のヒント
多くの自治体病院は、その自治体特有の必要性から設立された。その地域の必要性からの医療を「地域医療」と呼ぶ。それを実践する場所が地域医療病院である。夕張市のように前身が炭鉱病院であったり、あるいは救急医療を担う病院等である場合もある。設立当初の目的がなくなっても社会保障的に地域住民の医療を保障する意味から、自治体が引き継いでいる病院もある。地域の医療は、事前サーベイランスや健診制度の充実など医療以前の施策のコストも含むことがあり、財政的な脆弱性を内在している。しかし、地域の住民に寄与する医療であれば、自治体病院の医師は喜んでその脆弱性に立ち向かってきたのである。「医師の立ち去り」は、本当に地域住民に信頼され、貢献しているのだろうかといった疑問意識の現れでもある。医師へのクレーマ、コンビニ的病院利用、自分の都合しか考えない住民、医療訴訟の増大等である。この現象は、都市や地方を問わず起こりつつある。
本書は、著者の現場体験や現地調査さらにブログを活用した情報収集と綿密な情報分析によってその対策の一助を行政、住民、議会等に対して提示している。自治体病院勤務者だけでなく民間も含め、地域医療を担う全ての医療関係者と一般住民の方に、他人任せでない医療について考える一助として是非読んでいただきたいと思う本である。

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